東野圭吾 コウモリと白鳥 幸せな日々は、もう手放さなければならない 東野圭吾 コウモリと白鳥 幸せな日々は、もう手放さなければならない

『白夜行』『手紙』......
新たなる最高傑作、
東野圭吾版『罪と罰』。

今後の目標はこの作品を超えることです 東野圭吾

『白鳥とコウモリ』東野圭吾

発売日:2024年4月3日(水)
※一部地域では発売日が異なります
定価:(上下巻ともに)本体800円+税
判型:文庫
発売:幻冬舎

登場人物

二〇一七年十一月一日。
港区海岸に止められた車の中で腹を刺された男性の遺体が発見された。
被害者は白石健介。正義感が強くて評判のいい弁護士だった。
捜査の一環で、白石の生前、弁護士事務所に電話をかけてきた男、
倉木達郎を愛知県三河安城に訪ねる刑事、五代。
驚くべきことにその倉木がある日突然、自供をし始める――が。
二〇一七年東京、一九八四年愛知を繋ぐ〝告白〟が、
人々を新たな迷宮へと誘う—。

五代努警視庁捜査一課強行犯係所属の刑事
「この町に一体何があるんだろうな」
中町警視庁所轄刑事課巡査
「被害者には縁もゆかりもない場所みたいですからね」
長井節子白石法律事務所アシスタント
「依頼人だけじゃなく、相手のことも大事に考えて弁護をする、とても良心的な方だったと思います」
白石綾子白石健介の妻
「誰かから恨まれるようなこと、あの人は何ひとつしていないと思います」
白石美令白石健介と綾子の娘
「なぜ父は、その人に殺されたんですか。その人は一体何者で父とはどんな関係があったんですか」
倉木達郎元自動車メーカー子会社社員
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」
倉木和真倉木達郎の息子
「あの親父がそんなことをしただなんて、想像もつかない」
浅羽洋子小料理店『あすなろ』経営者
「倉木さんを疑っているんだとしたら、とんだ的外れですよ。あの人が悪いことなんかするわけありませんからね」
浅羽織恵浅羽洋子の娘
「倉木さんからは親切にしてもらいました」

物語の舞台

五代や中町がついつい一杯呑みたくなるくらい、門前仲町には美味しそうなお店がたくさん。東野さんも編集者と一緒に深川飯や焼き鳥を食べたことがあるそうだが、お酒もすすんでとても美味しかったようです。

門前仲町

富岡八幡宮東京都江東区富岡

被害者の白石健介が10月31日の午後6時30分過ぎ、富岡八幡宮に隣接するコインパーキングに車を止めたと思われている。白石は10月7日と20日に永代通りに面したコーヒーショップに入っているが、その際もこのコインパーキングを使ったとされている。

炉端焼き店

門前仲町駅すぐ近くの炉端焼き店。五代と中町は早めの夕食を摂るために初めて訪れている。蒸籠で蒸し上げた深川飯が名物。二人も注文した。

深川飯が運ばれてきた。蒸籠から立ち上る香りに、五代は思わず口元を緩めた。
「しばし事件のことは忘れよう」
賛成です、と中町も蒸籠を見つめたままで答えた。

コーヒーショップ

被害者の白石健介が10月7日と20日に入った、永代通りに面したコーヒーショップ。スマートフォンの位置情報によれば、白石は20日、2時間近くも滞在している。

『あすなろ』

永代通りに面した、小さく古いビルの二階にある小料理店。経営者は浅羽洋子で、愛知県瀬戸出身。夫が亡くなってしばらくしてから、上京した。現在は娘の織恵と二人で切り盛りしている。愛知県安城市に住む倉木達郎が客として年数回の頻度で『あすなろ』に通っていた。五代と中町はこの情報を受け、浅羽親子に話を聞きにいく。

竹芝桟橋近くの路上

竹芝桟橋近くの路上東京都港区海岸

11月1日朝、竹芝桟橋近くの路上で紺色のセダンが違法駐車されていた。車の後部座席から男性の遺体が発見され、遺留品から身元はすぐに判明。弁護士の白石健介だった。

隅田川テラス

隅田川テラス東京都江東区佐賀

写真は既に通り抜けができる状況だが、東野さんが執筆前に訪れたときには、実際に工事が行われていた。東野さんは1時間ほど佇み、ほとんど人が通らなかったことをご自身の目で確かめている。

被害者の白石健介のスマートフォンが隅田川の清洲橋近く、堤防を下りたところにある隅田川テラスという遊歩道で見つかった。地面に血痕があり、スマートフォンにも血が付着していて、殺害現場である可能性が高かった。白石は10月31日午後7時より少し前に着いている。当時人気が少なかったと思われる。すぐそばの排水機場で補修工事を行っており、テラスが通り抜けできなくなっていたからだ。

九段下

九段下東京都千代田区

倉木達郎の息子の和真が勤務する大手広告代理店が、九段下の靖国通りに面して建つオフィスビルの中にある。愛知県安城市に住む倉木達郎が息子に会うために年数回上京するという供述を受け、五代と中町は和真に話を聞きに行く。

高円寺

高円寺東京都杉並区

倉木和真は高円寺にあるマンションで一人暮らしをしている。

南青山

南青山東京都港区

被害者の白石健介の自宅は南青山にある。被害者の人間関係を洗う敷鑑捜査を任された五代と中町たちは十一月一日午後、白石の妻の綾子と娘の美令から話を聞くために訪れる。

青山通り近く

青山通り近く東京都港区

被害者の白石健介が構えている白石法律事務所があるのが青山通りの近くだ。五代と中町は白石の自宅を訪ねたあとに足を運び、事務所アシスタントの長井節子とも面会する。

東野さんは愛知の会社にエンジニアとしてお勤めになっていた期間も長く、本作には愛知の様々な場所が登場するのも大きな楽しみです。

愛知県

篠目愛知県安城市

倉木達郎の自宅は安城市篠目にある。白石健介が殺される約一カ月前の十月二日、倉木は白石法律事務所に電話をかけている。そのため、五代は倉木から話を聞くため、篠目を訪れている。

五代は車窓の外に目を移した。道路は広く、歩道も広い。その道路に面して、民家や商店が建っていた。高層の建物が見当たらない代わり、民家にしろ店にしろ、敷地をたっぷりと使っている。こんなところに住み慣れたら、東京の密集した住宅地では暮らせないだろう、と五代は思った。

東岡崎駅前愛知県岡崎市

三十数年前、名古屋鉄道東岡崎駅近くの雑居ビルの一室で、金融業を営んでいた灰谷昭造が胸を刺され、殺害された。事件発生から3日後、警察は電器店を営む福間淳二を逮捕。だが、その4日後、福間は警察署の留置場で首吊り自殺を図る。この福間が門前仲町で小料理店『あすなろ』を経営する浅羽洋子の夫だった。

著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めをする傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー、専業作家に。1999年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞、2019年に第1回野間出版文化賞を受賞。

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